【UCIロードレース世界選手権2018】アレハンドロ・バルベルデが戴冠
モビスター Twitter
間近いなく、今年最高のワンデーレースだった。
近年のワンデーレースの中でも屈指の好レースだった。
平坦、緩やかな登り、激坂、下り。あらゆる要素が組み込まれたハイレベルなレイアウトのコースを制したのは、地上最強のオールラウンダー、アレハンドロ・バルベルデだった!
最終盤、最大勾配28%の激坂ヘッレ(以下、地獄)による力勝負の末に残ったバルデ、マイケル・ウッズとのマッチスプリントを制しての38歳での戴冠。
過去何度も後一歩のところで苦渋を舐めた世界選手権を遂に制した。
戦前レビューはこちら。
少しレースの展開を解説。
このレース、私が本格的に見始めたのは、残り70㎞あまりの所から。
某サイトのストリーミングで視聴。
既にサガンはDNFとの報が流れていた。
プロトンがいよいよ逃げとの差を詰めるべく、イギリス、イタリア、オランダ辺りを中心にどんどんペースを上げており、徐々にセレクションがかかっていた。
今大会。もちろんバルベルデは優勝候補の一角だったが、フランスのアラフィリップが最有力との下馬評が目立った。
アラフィリップ Twitter
アラフィリップは今年絶好調で、バルベルデを破ってユイの壁フレーシュ・ワロンヌを制し、更に登坂力を強化しツールではステージ二勝で山岳賞を獲得した。直前のクラシカ・サンセバスチャンも制しており、チームメートにトップクライマーのバルデとピノーがいる事も有利に働くと思われた。
事実、フランスの戦略は終盤まで順調に進んでいたように思う。
フランスはこのレースでほとんどプロトンコントロールに参加していなかった。時折ピノーやバルデが前方に顔を出していたけど、本命のアラフィリップは中団で勝負の時を待っていた。
イギリスやイタリア、そしてスペインあたりはプロトンを小さくしようと積極的に動いており、特に最終周回に、入ってからのイタリアの弾きはとても強力で、この弾きで勝負に挑むメンバーが決した。
この時点で、パンチャー、登れるスプリンターと称される選手はほぼ全滅。
サガン、クビアトコウスキー、そしてギリギリまで粘ったGVAもここで千切れる。
地獄を前にニバリまでもが千切れる。
ニバリは戦前イタリアのエースはモズコンとコメントしてたけど、その通りだった。
実際、イタリアトレインではモズコンの前をニバリが走っていたし。
ニバリがモスコンにエース禅譲発言した件を追記しておいた。#jspocycle#DAZNcycle#InnsbruckTirol2018 #2018roadworldchampionships
— K.M ロードバイク中心 (@honkakuroadie) 2018年9月27日
UCIロード世界選手権2018男子エリート展望 - 本格ローディへの道 https://t.co/9u8BvLPiqq
残った有力選手は、アラフィリップ、ピノー、バルデ、モズコン、ウッズ、ヴァルグレン、デュムラン、そしてバルベルデ。
フランスが3枚揃えて理想的な展開ではあるが、ここからはチーム戦というより個人の力勝負。
ヴァルグレンが鋭い飛び出しでアタックをかけたが、地獄直前に吸収。
そしていよいよ地獄に突入。
最大勾配を前に、アラフィリップ、ピノー、デュムランが遅れる!モズコンは何とか粘る!
フランスとしては、ここでアラフィリップが遅れるのは予想外だっただろう。
勾配28%に突入したところでモズコンが千切れ、バルデ、ウッズ、バルベルデの三人に絞られた。
地獄で一番余裕があったのはバルデのように思う。時折後方のアラフィリップ、ピノーの様子を確認する余裕すらあった。
バルデ自身、トップクライマーの実力を見せつけたが、最後のマッチスプリントでバルベルデに勝つ足はない。
フランスでバルベルデにスプリント勝負出来るのはアラフィリップしかいないため、地獄でバルデがバルベルデを千切れなかった以上、ペースを落としてアラフィリップを待ちたかったのが本音だろうが、バルベルデがペースを上げてそれを許さない。
ウッズは大健闘だが、下り巧者のバルベルデとバルデ(この二人名前が紛らわしい…)について行くので精一杯の様子。
下りも終盤、フィニッシュまで残り3㎞あまりの所で衝撃の映像が!
28%の激坂で遅れたはずのデュムランが、TTスタイルで猛然と追い上げ、遂には先頭3人とジョイン!この男はどれだけ凄いのか…。
しかしデュムランにスプリントは無く、追走で脚も使っていた為、追いついた所で終了。
そしていよいよ最後のマッチスプリント。
バルデが上手く牽制を入れて、バルベルデを先頭に出す。
バルベルデは、牽制が入りすぎて後方からアラフィリップに追いつかれると困るので、先頭に出ざるを得ず。
先頭からのスプリントになったものの、自脚の違いを見せつけて最後まで前を譲らず、フィニッシュ!
from Corvos
あらゆる局面で強さを見せるバルベルデ渾身のレースだった!
この喜びよう。
モビスター Twitter
終始調子の良さそうだったバルデが2位、大健闘ウッズが3位。
アラフィリップは結局43秒遅れの8位。十分凄いんだけどね。
戦前の予想通り、勝負を分けたのは地獄だったが、有力パンチャー勢はその前にドロップ。基本クライマーの勝負になったけど、勝負の地獄の登坂距離がそこまで長く無かったことから小集団のマッチスプリントを制するパンチ力も要求され、全てを高次元で兼ね備えたバルベルデが、終わったみれば実力通りに勝利したということなのだろう。
バルデとデュムランにはスプリントが、アラフィリップとモズコンには登坂力が僅かに足りなかった。
表彰式ではサガンからメダルを渡されるサプライズ。
サガンという、三年連続でアルカンシェルを着続けた圧倒的なカリスマからアルカンシェルを引き継ぐに相応しい男は、バルベルデしかいなかった!
サガンはレース後のインタビューで全力を尽くしたと言っていて、嘘は無いと思うけど、今回はハナから無理だとわかっていたんだろうね。
レース前のこのコメントは真実だったんだろう。
バ師匠、本当におめでとう!
来年も39歳で更なる進化を期待しています。
永遠のライバル、コンタドールも祝福!
コンタも祝福。#jspocycle https://t.co/xD60xdbEk4
— K.M ロードバイク中心 (@honkakuroadie) 2018年9月30日